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2018.5.25

歯のひび割れと歯の神経の関係

いつも、ももこ歯科のブログを読んでいただきまして、ありがとうございます。

以前のブログで、根管治療後の歯の強度が弱くなる直接的な原因は、根管治療ではなく、歯質がなくなることである、とお話ししました。

今回のブログは、根管治療自体が歯を弱くすることはないものの、歯がわれる可能性が高いのは、根管治療を行なったことのある歯に多く見られるのはなぜか、理由の1つとして、歯髄にはかみ合わせの圧力を感知するセンサーがあるのではないか、という仮説が以前から存在しています。

最大咬合力の比較する実験を実施

Hemaidatら*は、2011年2月~2012年3月まで1本でも根管治療を行なったことのある歯を持ち、なおかつ反対側同名歯が生活歯(根管治療をしたことがない歯)であることを条件を満たす124名の患者さん、平均年齢30.86歳、女性60%、男性40%を対象に最大咬合力の比較を行いました。

最大咬合力の計測は機械で3回に分けて行われ、その平均値を記録しました。

結果は、最大咬合力について、根管治療後の歯が226.58N、生活歯は207.93Nと、根管治療後の歯の方が、最大咬合力が強かったのです。

この論文は、歯髄にも咬合力を感じとるセンサーが存在するのではないか、という仮説が成り立つ可能性を示唆しています。歯の圧を感知するする器官は、歯根膜にあることは周知の事実です。

根管治療で、歯髄は取り除かれていますから、根管治療後の歯は、歯根膜でのみ圧を感じ取るため、圧のコントロールをしにくく、過剰負荷になりやすい、というわけです。

逆にいうと、根管治療を行なったことがなく、生きた歯髄を持っている歯は、歯髄と歯根膜が存在するため、圧のコントロールをしやすく、過剰負荷になりにくいことになります。

歯にかかる咬合力が過剰負荷になると、歯が割れてしまう可能性が高くなります。上記のことから、歯髄の大切さの一つがわかると思います。

歯髄には血流が存在します。歯に血液が供給されていた方が、歯は長もちします。

今おかれている状況でベストな治療法を選択した方が、後々好ましい結果をもたらすことになるでしょう。

*Awawdeh, Lama, Khalid Hemaidat, and Wael Al-Omari.
“Higher maximal occlusal bite force in endodontically treated teeth versus vital contralateral counterparts.” Journal of endodontics 43.6 (2017): 871-875.

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