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根管治療の回数と期間、どんな症例でどのくらいかかる?

院長ブログ

みなさん、こんにちは。
今回のブログは、根管治療の回数についてお話しします。

一般的な根管治療の回数

根管治療の回数は、一般的に2~4回程度が上限ではないかと思います。ケースバイケースで、1回で終わらせることも可能です。

患者さんから、このようなお問い合わせがあります。

  1. 根の治療に半年くらいかかっている。治るか治らないか不安だ。そもそも、こんなに回数がかかるものですか?
  2. 根の消毒を何回もやっているけれども、一向に終わらない。なぜですか?
  3. 根の先から膿が出続けているらしく、治療が終わらない。抜歯した方がいい、といわれた。残す方法はありますか?等々。

根管治療の期間については、患者さんとのお約束により前後することはあります。しかし、患者さんがきちんと通院しているにもかかわらず、半年もの期間を根管治療のみに費やすことはありません。

では、根管治療が1回で済むのは、どんな場合でしょうか?

 

治療回数が1回でも可能な場合

図1

 

 

 

 

 

 

2017年4月26日のブログで、お話しした診査の結果で、判断します。

歯髄炎の場合、一般的に、根管が感染していない、と言われています。図1のケースは、19歳男性で、主訴が左下の奥歯が冷たい物にしみる、とのことでした。矢印で指している歯に大きな虫歯があり、診査の結果、不可逆性の歯髄炎で、根尖周囲組織は正常と診断し、根管治療を行いました。

このようなケースの場合、経験が豊富な歯科医師であれば1回で根管治療を終わらせることもあります。

では、貼薬を行う必要があるかないか、と問われると、この場合はどちらでも間違いではありません。患者さんの負担を減らすために、あるいは治療の回数を少なくして、感染のリスクを減らそうと考える歯科医師もいるし、根管が感染している可能性を重要視し、貼薬を行う歯科医師もいます。

では、根管治療が複数回かかる場合は、どんな時でしょうか。

 

治療回数が複数回必要な場合

図2

 

 

 

 

 

 

図2のケースは、23歳の男性。主訴は右下の奥歯がズキズキ痛む、かむと痛い、夜眠れないことがあった、とのことでした。

診査の結果、歯髄壊死、症状のある根尖性歯周炎(例えば、かむと痛い、打診痛がある等々の症状がある場合)と診断し、根管治療を行いました。

図2のケースの場合は、歯髄壊死という病気で、術前のレントゲンで、根の先に黒い影を認めます。根管が細菌に感染していることが予測され、貼薬を行なった方が根管内の細菌を減らせる、と考えます。よって、治療回数は少なくとも2回とする歯科医師は多いでしょう。

ちなみに、もう一つ、一般的に2〜4回ほどかかる場合は、以前、根管治療を行なわれた歯をもう一度根管治療をする場合(再治療)です。

 

治療回数が2~4回必要な場合

図3

 

 

 

 

 

 

図3は、再治療ケースです。再治療ケースは、治療のステップが多くなります。理由は、上物をはずさなければならない歯が多いこいている穴があとその修復処置を行わなければならないこと、それから根管に詰めてあるガッタパーチャという材料を取る必要があるからです。

図3のケースは、35歳女性。右下の奥歯がものすごく痛い、かむと余計に痛い、を主訴に受診されました。深いポケットがあり、ひびれか、穴があ根にいている可能性があり、根管治療をすることになりました。

 

図3の症例の治療方法

1.セメント(MTA)を穴につめて修復

術中に、穴があいているところから出血を認めたので、MTAというセメントを穴につめて修復します。穴を修復する理由は、歯の内部と外部を交通する部分があると、細菌が行き来してしまうためです。MTAは、硬化するために時間がかかりますので、治療回数がプラス1回かかる、というイメージです。

治療の回数は、根管の数にもよります。大臼歯の場合は根管の数が多い分、回数はかかります。前歯の場合は、根管の数が少ない分、回数は大臼歯ほどかからないことが多いです。経験のある歯科医師であれば、より治療回数はかかりません。穴があいている大臼歯の症例についても、2回程度で終わらせられる歯科医師もいます。私も、早くそのような歯科医師になりたいです。

2.根管充填に移行

MTAの硬化後、根管充填に移行します。根管充填とは、空洞になった根管をガッタパーチャという材料でうめることです。根管充填が終了し、必要に応じて土台を作ったら、根管治療は終了です。膿が出ていても、やるべきことをやったら根管治療は終了し、次のステップとなる歯内療法外科へ移行します。この場合の判断は、膿が出続ける原因は、根管の外にある、という理由からです。

根管治療はだいたい4回程度で終わります。治療と治療の間隔を正しく設定することも大切です。

 

次回は、治療と治療の間隔についてお話しします。お楽しみに。