マイクロスコープ(顕微鏡)は、虫眼鏡?!
少し間をあけてしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
11月に雪が降った時は、さすがに驚きましたね。最近は、冬なのに暖かい日が続いています。でも、日が短いのはやっぱり寂しいです。せめて、18時頃までは明るければ、なんだか気持ちも落ち着きます。
さて、今回のブログでは、歯内療法*1で活躍しているマイクロスコープ(顕微鏡)は、小さなところをどのくらい拡大して見えるのか?を実証します。
千円札で試してみましょう。
では、なぜ歯内療法でマイクロスコープを使うのか?なぜ、歯の中をよく見ないといけないのか?
歯内療法を行う上で、とても大切な基本コンセプトをより確実に、より安全に厳守するために、マイクロスコープを使います。基本コンセプトとは、歯内療法の目的である根尖性歯周炎の予防と治療をまっとうするものです。根尖性歯周炎の原因である細菌1)を除去することで、歯内療法を成功に導きます。基本コンセプトとは、『無菌的処置』と『解剖形態の維持』です。
『無菌的処置』では、肉眼では不鮮明な汚染された歯質を除去します。マイクロスコープで歯の内部を詳しく観察することで、より確実により安全に悪いところを取り除くことができます。その結果、解剖形態を維持することにもつながるのです。
とりわけ、外科的歯内療法では、マイクロスコープと超音波チップ、MTA*2を用いることで、成功率が上昇しました2)。
ただし、マイクロスコープの拡大率が高ければ高いほど、何でもかんでもよく見えるわけではありません。拡大率が高すぎると、患者さんが呼吸をするだけで、術野が視野の外に出てしまいます2)。
歯内療法の目的を達成するために、基本コンセプトを厳守しながら、細菌を除去します。そこで大事なのは、視野の確保をすることです。その結果、マイクロスコープが大活躍してくれます。
*1: 歯内療法には、保存的な治療と外科的な治療があります。前者は、生活歯髄療法と根管治療があり、後者は、歯根端切除術と意図的再植術があります。外科的な治療法については、今後詳しくブログでお話ししていく予定です。
*2: MTAとは、非常に封鎖性の良い材料です。後々、ブログでも触れていく予定です。
1) Kakehashi, S., H. R. Stanley, and R. J. Fitzgerald. “The effects of surgical exposures of dental pulps in germ-free and conventional laboratory rats.” Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology 20.3 (1965): 340-349.
2) Kim, Syngcuk, and Samuel Kratchman. “Modern endodontic surgery concepts and practice: a review.” Journal of endodontics 32.7 (2006): 601-623.