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原因不明の『かむと痛い』の正体は、歯がヒビ割れていた?〜経過良好編〜

院長ブログ

みなさま、お変わりないでしょうか?
9月から10月は何かと忙しく、休みがほとんどありません。
休みが欲しいなー、と思うと、前勤務先の院長に言われた、『開業したら、今の倍以上働かないといけない。大変だよ〜。』を思い出します。

 

さて、今回のテーマは、原因不明の『かむと痛い』の正体が、実は、歯のひび割れだった場合です。

歯科医院には、『かむと痛い』を主訴に訪れる患者さんは多いです。最も多い原因は、虫歯や歯髄炎、あるいは根の先に膿がある場合等々で、比較的診断はしやすいです。一方で、虫歯や歯髄炎、あるいは根の先に膿がある場合が原因として否定された場合、次に疑われる疾患は、歯のヒビ割れです。

そんな患者さんのよくある訴えには、

その1)かむと痛いけれども、虫歯や歯髄炎あるいは根尖性歯周炎はなく、一時的なものかもしれもしれないので、様子をみてください、と言われて半年くらいたつ。症状は変わらない、あるいはひどくなっている気がする。

その2)何度も治療をしているのに、かんだ時の痛みがずっと良くならない。

その3)歯にヒビが入っているから抜歯したほうがいい、と言われた

その4)根の治療をするたびに、かむと痛い。

等々あります。

ヒビ割れの確定診断は、目で確認するのみです。その際に有効なツールとして、マイクロスコープや、見えるのであれば拡大鏡です。主治医だけが目で確認し、ヒビ割れが見えるなら拡大鏡でも十分ですが、ヒビ割れの状態を患者さんと情報共有したければ、カメラが取りつけられるマイクロスコープの方に軍配は上がるでしょう。

歯にヒビが入っているからといって、すべてを抜歯しなければならない、というわけではありません。ヒビ割れの進展具合によって治療方針も変わります。そこで、歯にヒビ割れはあるけれども、比較的経過良好な2つをご紹介します。

 

1.クレーズライン

 

青い矢印が指している茶色い線が、クレーズラインと言います。
これは、エナメル質表層にできたひび割れで、通常、症状はありません。よって、治療を必要としないことが多いです。

 

2.咬頭破折

 

ヒビ割れが、歯の頭の部分(白いところ、歯冠部と言います)から始まって、歯肉に向かって終わるような場合を咬頭破折(こうとうはせつ)と言います。
症状は、食べている時に痛みがあり、冷たいものにしみる等々です。
治療は、ヒビ割れてプラプラしているところを取って、歯の神経に異常な所見や反応があれば、生活歯髄療法もしくは、根の治療を行います。
次に、歯の形態を修復する処置に入ります。咬頭(歯の山の部分)を保護する目的で、クラウンをかぶせる方が適切です。この理由は、別の機会でお知らせしたい、と思います。

次回は、ヒビ割れの経過が不安定、または不良な場合をお伝えします。

http://www.aae.org/patients/symptoms/cracked-teeth.aspx