根管治療の流れから考える根管治療の回数について
ももこ歯科のブログを読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます☺️
今日のブログは、根管治療の流れから考える根管治療の回数についてお話しします。
根管治療はなぜ回数がかかると思われるか?
患者さんは、歯科医師が根管治療で歯をどうやって治しているか
よくわからないな、と感じている方が多いと思います。
しかし、型取りになるといよいよこの歯の治療も終わりだな、
という実感を持つ方は多いと思います。
では、歯科医師がどうやって根管治療をしているか
患者さんはわからないにもかかわらず、
根管治療がなかなか終わらない、
と患者さんがどうして感じてしまうのか?考察してみます。
おそらく、患者さんは歯科医院で根管治療をするために
何度も通院しているにもかかわらず、一向に型取りにならないのはなぜだ?
と不思議に思うので、根管治療がなかなか終わらない、
と感じていらっしゃるのではないか、と思います。
そこで、今回は、根管治療の流れから根管治療の回数についてお話しします。
(前回は、症例別に根管治療の回数をお話ししました)
根管治療の流れについて
根管治療の初回に、かぶせ物を取り虫歯の部分を削り、
根管をきれいにするまで行います。
ただし、根管をきれいにするために回数を必要とする場合もあります。
簡単にいうと、根管を拡大した後は、
次亜塩素酸ナトリウムの抗菌効果を期待して洗浄を行い、
最後に水酸化カルシウムで貼薬を行えば、
その時点で痛みがあろうと膿が出続けていようと浸出液が出ていようと、
根管はきれいにしきったので根管充填に移ります。
よって、以前のブログでもお話ししたように、
1本の歯の根管治療で両手以上の回数になることはまずないです。
5回でも多いと思います。
根管治療の回数が少なくてすむ理由を説明する前に
知っていただく必要がある『根管治療の流れ』の
3.根管をきれいにする(洗浄・拡大・貼薬)について、説明していきます。
根管治療の豆知識
根管をきれいにする流れは、窓拭きをイメージしてもらうとわかりやすいです。
雑巾で窓を水拭きすると、埃が取れてきれいになります。
この水拭きの役目を根管治療では『拡大』と言い、
雑巾の代わりに『ファイル』という器具を使います。
次に、洗剤を窓に吹きかけて雑巾でふくと、窓がよりピカピカになります。
窓拭きの洗剤の役目は、根管治療だと『洗浄』と言いまして、
洗剤の代わりに『次亜塩素酸ナトリウム』を使います。
最後に、窓を乾拭きすると水垢を作らない分、窓がきれいになります。
根管治療における乾拭きの役目を貼薬といって、
『水酸化カルシウム』を使います。
『水拭き+洗剤+乾拭き』で窓拭きをすると、
埃だらけだった窓がピカピカになるように、
根管も『ファイル+次亜塩素酸ナトリウム+水酸化カルシウム』で
ピカピカになります。
ではいよいよ、当院で行うペンシルバニア大学歯内療法学講座のコンセプトに基づいた根管治療では、どうして治療回数が少ないのか、お話しします。
少ない回数の根管治療について
拡大操作で、ファイルを細いものから太いものに上げて行き、
根管をきれいにして行きます。
35号のファイルで根管を拡大すると、根の先まで洗浄剤が到達する、
と言われています*。
最終的に使うファイルの太さは歯の種類によって決まっています。
適切な太さのファイルまで根管を拡大すれば、拡大操作は終了です。
膿が出ても浸出液が多くても、
あとは洗浄剤と貼薬剤の抗菌効果に期待するのみです。
さらにいうと、膿が出ても浸出液が多くても、
根管を次亜塩素酸ナトリウムで洗浄して水酸化カルシウムで貼薬が終われば、
次の回からは根管充填と土台づくりを行い、かぶせ物の型取りに移行します。
ももこ歯科での根管治療では、
膿が出てるからさらに太いファイルで根管を拡大していく、
という操作はしません。
根の先を大きく拡大しすぎてしまうと、重症化します。
重症化のお話は、別の機会にします☺️
治療中にどんなことをしているか、短時間ですが動画をお見せします。
汚いのがドバッと浮き上がってきたのがわかったと思います。
このような汚れが多い時でも、適切なファイルの号数まで根管を拡大したら、
次亜塩素酸ナトリウムでひたすら洗浄していくのみです。
今日はここで終わりです。
次回のブログもお楽しみに。
*Salzgeber, R. Martin, and J. David Brilliant.
“An in vivo evaluation of the penetration of an irrigating solution in root canals.” Journal of Endodontics 3.10 (1977): 394-398.