歯髄は残せるか?残せないか?診査診断の大切さ〜歯髄炎編①〜
ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。
今回のブログは、診査診断の大切さ、歯髄炎編です。
歯髄炎とはどういう病気か、詳しく知りたい方は、このブログを読んでいただきたいです。
↓
歯髄炎は、虫歯が進行すると起こる病気です。 一般的な症状として、冷たいものに痛みがある、ズキズキとした痛みがある、何もしなくても痛い時がある、等々です。
今回は、ある症例を時系列でお伝えしたいと思います。
前回のブログでお話しした通りの流れで診査診断し、治療方針を決定します。
44歳 女性。
『左上の歯がアイスを食べると痛い』を主訴にももこ歯科を受診されました。
患者さんは左上と部位をある程度特定していますが、左下も『アイスを食べると痛い』ところかもしれない、という予測を立てて診査をします。
この患者さんは、冷たいもので痛みを感じますから、冷たいものを歯に当てて痛みの再現をします。その結果、痛い歯は左上顎第一大臼歯(左上6)と左上顎第二大臼歯(左上7)の2本になりました。2本同時に同じ症状を訴えることはまずないので、ストリップスというフィルムのようなものを歯の間に挟んで診査をしてみました。
図の右がストリップスで、ストリップスを挟んだところは、左のお口の中の写真の白い線のところです。
ストリップスを挟んだ理由は、絶縁体となり、銀歯を介して冷たい刺激が2本の歯に伝わらないようにするためです。
ストリップスを挟んだおかげで、『アイスを食べると痛い』歯は、左上顎第二大臼歯(左上7)だとわかりました。
冷たい刺激と温かい刺激に対しての反応時間は、長かったです。
診断は、
歯髄:症状がある不可逆性歯髄炎
根尖周囲組織:正常
上記により、歯髄を残しても『アイスを食べた時に痛い』という症状は改善しないと判断し、根管治療を行いました。
冷たい刺激と温かい刺激に対して反応している時間が長いと、歯髄の炎症は原因を取り除いても正常な状態には戻らない、という判断になります。
日常生活で、『冷たいもの』あるいは『温かいもの』に対して『痛み』あるいは『しみる』と感じる時間は、ほんの一瞬で長くは続きません。
診査時も、『冷たいもの』あるいは『温かいもの』を歯に当てる時間は、患者さんが反応するまでです。刺激の除去後すぐに反応がなくなれば正常と考えます。しかし、『冷たいもの』あるいは『温かいもの』の刺激を取り除いているにもかかわらずずっと反応をしている歯の歯髄は、元の正常な状態には戻らない歯髄になっている、すなわち、『不可逆性歯髄炎』という診断になります。
患者さんは、治療後『アイスを食べた時の痛み』はなくなり、現在も術後経過良好です。
次回も、歯髄炎編が続きます。
お楽しみに。