根管治療を失敗させない=成功させる条件 その8 土台作り(支台築造)について
ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。
根管治療を失敗させない=成功させる条件シリーズも8回目となりました。
今回のブログは、土台作りについてです。
根管治療と土台作りは切っても切り離せない関係です。
根管治療の最終段階は根管充填です。
根管充填の後に土台作りをします。土台を作ることを支台築造といいます。
土台作り(支台築造)の目的
①かぶせ物を維持させる
②歯の中に細菌を入れさせない(=封鎖)
土台を作った後の目的は①かぶせ物を維持させるですが、②歯の中に細菌を入れさせないは、
土台を作る前でも後でも大事なことです。
歯内療法の視点からは、②歯の中に細菌を入れさせないを達成させながら、土台作りをします。
そこで、根管治療の最終段階として行う根管充填の後、すぐに土台作りをすることが多いです。
当院ではファイバーポストという土台を作ることが多いです。
ファイバーポストは、ラバーダムをしている環境で直接作れるので、②歯の中に細菌を入れさせない目的は達成されます。
土台の種類
土台は大きく分けて2種類あります。
土台の型取りが必要なのか不必要なのか、型取りが必要な場合を間接法、型取りが不要な場合は直接法といいます。
間接法で作る土台は、主に金属製の土台、たとえば白金加金やシルバー、パラジウム、ゴールド等々、それからファイバーポストも型取りをして作ることもあります。
直接法はファイバーポストです。ファイバーポストの強度的には、間接法でも直接法でも大きく変わらないようです。直接法でファイバーポストを築造できる環境なら、直接法の方がメリットは大きいと思います。
間接法は根管の中が必ず唾液で汚染されるので、歯内療法の観点からは好ましいとは言えません。しかし、直接法の方がかぶせ物や歯の条件によっては、適切な場合もあります。よって、適材適所で患者さんや歯の条件に合った土台を作ることが一番好ましいです。
ファイバーポスト・金属製土台の良いところ悪いところ
ファイバーポストの良いところは、型取りしても作れるし、無菌的な環境(ラバーダム)で歯に直接作れます。
それから、ファイバーポストは象牙質の弾性係数と等しく、歯根破折を予防するのではないか、と期待されていますが、現在のところ、結果は不明です。
歯内療法専門医は、無菌的な環境(ラバーダム)で根管充填直後にファイバーポストを作っています。
ファイバーポストの欠点は、強度や維持が弱いことです。
一方で、間接法で金属製の土台を作製する際、②歯の中に細菌を入れさせない環境で作れないところが欠点ですが、良いところは強度があり、歯の状況によらず作ることは可能です。
このように、ファイバーポストも金属製の土台も長所と短所があります。
ただし、歯内療法の視点からは、②歯の中に細菌を入れさせない、すなわち、封鎖を目的に土台作りをします。
実際の症例
症例1の患者さんは、50歳女性です。
定期的に冷たいものに痛みを感じる、とのことでももこ歯科を受診されました。
原因歯は左上顎第一大臼歯(白い矢印)で根管治療を行い、直接法でファイバーポストを築造しました。根管充填も築造体も隙間なく詰められています。
症例2の患者さんは、47歳男性です。
かむと痛みがあることを主訴に、ももこ歯科を受診されました。
原因歯は左下顎第一大臼歯(白い矢印)で根管治療を行い、直接法で築造を行いました。
この症例は、残りの歯質が十分にありましたので、ファイバーポストは入れませんでした。
症例1と同様に、根管充填も築造も歯質との隙間なくできています。
根管の中をきれいにしたら細菌の侵入を防ぐために、歯を封鎖します。
歯内療法の目的:根尖性歯周炎の予防を達成するためです。
根尖性歯周炎の原因は、細菌です。
細菌から歯を守るために、根管の中をきれいにしたら封鎖をします。
今回は、以上となります。
次回は、根管治療を失敗させない=成功させる条件 その9 かぶせものについてです。
お楽しみに。