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そもそもその歯に根管治療は必要か?〜パート2〜

根管治療  / 根管治療後のかぶせもの  / 院長ブログ

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

今回は前回のつづきで、根管治療を行える歯かどうか、を検討します。
根管治療はそもそもかぶせられる歯に行うのであって、かぶせられない歯=(抜歯する歯)に対して行う治療ではありません。

では、実際どのように検討するか、みていきます。

1. 虫歯の大きさと深さの確認

患者さんは20歳で将来がある若者ですから、なんとか歯を残したいのですが、虫歯が大きく深ければ、歯を残すことは難しいです。根管治療後約半年の間、仮封のままでしたから、虫歯は大きく深くなっていました。

2. かみあわせの改善

初診時口腔内写真の左側が下顎の歯列全体で、矢印が患者さんの主訴の歯です。右側の写真は右側の歯でかんだところです。矢印で指している右下のかみ合わせの写真を見るとわかるように、右上の歯と右下顎第一大臼歯とかみこんでいます。右下顎第一大臼歯は虫歯で根管治療をするほどの虫歯があったため、本来の歯の形より随分小さくなっています。右下顎第一大臼歯の根管治療後半年間放置していたため、右上顎第一大臼歯が噛む相手を探して挺出したため、小さくなった右下顎第一大臼歯と噛み込んでいます。注釈として、以前のブログでお話しした矯正的挺出と、この症例の挺出とは異なります。前者は治療法、後者は自然挺出です。

では、右下顎第一大臼歯が保存できる状態だったとして、右上顎第一大臼歯と噛んでもらうためにどのようにすればいいのか、考えます。

右上顎第一大臼歯を矯正力により圧下させて本来の正しい位置に戻すか、右上顎第一大臼歯を削って右下顎第一大臼歯にかぶせものが入れられるくらいのスペースを作るか、あるいは右上顎第一大臼歯を便宜的に根管治療して右下顎第一大臼歯にかぶせ物を入れられるスペースを作るか、それとも、この状況のままかぶせたいと思っているか。この状態のまま右下顎第一大臼歯をかぶせると、かぶせ物はすぐとれる状態ですし、咬合平面は歪みますので、将来的に問題が出てくる可能性があります。

 

上の図は、右側面と左側面の咬合平面の歪みを示します。
黄色い線は、咬合平面です。右側面は上顎第一大臼歯が挺出しているので、咬合平面が歪んでいます。左側面の咬合平面はすべての奥歯がかみ合っていますから、歪んでいません。
咬合平面に歪みがあると、どこかの歯がぐらぐらしてきたり、歯がわれたり、かぶせ物がすぐ取れたり、等々いろいろな問題が生じます。咬合平面の歪みが原因で生じた問題の解決には、多くの時間を要し、いろんな意味で患者さんにも負担が生じます。患者さんは前途有望な若者ですから、理想的な形で歯科治療を終わらせたいと思います。

3. 根管治療を行うか

虫歯の大きさや、現在のかみ合わせの問題点を紹介元の先生にお話しし、今後どうするか具体的な治療方針を紹介元のほうで立てていただくことになりました。

根管治療を行う、という意思決定をする前に、色々な問題を解決していく必要があります。

それでは次回のブログもお楽しみに。