ブログ

[記事公開日]2020/02/27
[最終更新日]2020/04/04

歯髄(歯の神経)は残せるか?残せないか?〜診査診断の大切さ 歯髄壊死編②〜

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

前回、歯髄壊死の診査や症状についてお話ししました。
今回は、実際にあった歯髄壊死の症例を挙げて、いつもどうやって診断をしていくか、経緯も含めてお話しします。

患者さんは、46歳男性。
左下で噛むと痛い、を主訴にももこ歯科を受診されました。

1. 問診=主訴の再現をする

どこがいつから痛かったのか、どのような痛みなのかを患者さんから聞きます。
本症例の患者さんは、ももこ歯科を受診する4ヶ月くらい前から『噛むと痛い』を発症していたようですが、自然に治っていたので放置していたようです。すると、ももこ歯科を受診する4-5日前に何もしなくても痛みが出てきたため、ももこ歯科を2019年5月8日に受診されました。
『左下で噛むと痛い』と痛い場所を患者さんが特定しています。
ロールワッテか割り箸を患者さんに左側で噛んでいただくと、痛い歯は2つに絞られ、それぞれをコンコンと歯を軽く叩いてみると、痛い歯は左下の第一大臼歯であることがわかりました。

2. 痛い歯の状況を知る

左下6(左下顎第一大臼歯)は、どのような状況になっているのかを知るために、前回のブログでもお話しした、歯髄の診査と根尖周囲組織の診査をします。

結果は、冷たい刺激と電気には反応しておらず、温かい刺激に反応を示し、軽くコンコンと叩いて患者さんは痛みを訴えていらっしゃいました。前回のブログでお話ししたように、温かい刺激を感じる神経は低酸素状態でも機能します。冷たい刺激と電気に反応しなかったので歯髄の大部分は壊死しており、一部は壊死しているだろうと考えました。隣の歯である左下5(左下顎第二小臼歯)も、コンコンと軽く叩くと痛い、と患者さんは訴えていらっしゃいました。これは、左下5をコンコンと軽く叩いた時の刺激が隣の歯である左下6に伝わって、叩いている歯は左下5ですが、実際痛みを訴えた歯は左下6であろう、と考察しました。

3. 診断

患者さんが困っている『噛むと痛い』の原因は、歯髄壊死により根尖性歯周炎を引き起こしているから、とわかりました。
AAEの診断基準の範囲で診断すると『歯髄壊死』になりますが、実際には『部分壊死』でした。
歯髄にアクセスした際、ほとんど出血していませんでしたが、アクセスを広げると一筋の出血をほんの一瞬だけ認めたところがありました。壊死した組織に血流はないはずですが、温かい刺激に反応をしたということは、一部でも血流を認める可能性があります。
それから、何もしなくても痛みがあり、夜も眠れないほどの痛みがあったという状態も歯髄壊死の可能性を高める要因です。

4. 治療方針を決める

治療方針は、以下の3つです。
1.根管治療
2.抜歯
3.このまま何もしない

患者さんは、根管治療を選択しました。

根管治療後6ヶ月を経過していますが、『噛むと痛い』の再発はなく、術直後にあった矢印部分の透過像は、術後6ヶ月にはほとんど認められなくなりました。

まとめ

適切な診査を行い、正しい診断をすることは非常に重要です。
歯髄の診断と根尖周囲組織の診断には整合性がなければいけません。
痛い歯の特定から始まり、なぜ痛みを感じるようになったか、を確実に知る必要があります。診査を適切に行った結果、歯髄が正常な反応をしているのに『噛むと痛い』のであれば、根管治療ではないまったく別の治療をしなければ『噛むと痛い』は治りません。
診断が適切に行えなければ、診査をやり直すとか、期間をおいて診査からやり直す等々の必要があります。

次回は、診査診断の大切さの歯髄炎編です。
お楽しみに。

カテゴリー:歯の神経の温存, 診断, 痛み, 虫歯, 流れ, 歯髄壊死, 根管治療

記事検索

ページトップへ