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2020.2.16

歯髄(歯の神経)は残せるか?残せないか?〜診査診断の大切さ 歯髄壊死編①〜

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

少しずつ暖かくなってきましたね。今年は暖冬で、私個人としては助かっていますが、冬という季節で生計を立ててる人々にとっては、大きな痛手かと思います。

今回のブログは、歯髄と根の先の診査項目からどうやって歯髄壊死と判断するかの序章編です。

本来は、歯髄の血流をみて診断する

歯髄を保存できるかどうかを見極めるために、本来は歯髄の血流をみて判断しなければいけません。歯髄に血流が存在していれば、歯髄を保存できますが、歯髄の血流がない場合は歯髄を保存することはできません
しかし、現状では歯髄の血流をみる検査法が確立されていないので、神経の反応をみて歯髄の血流がどうなっているかを想像しています。
神経の反応をみて、歯髄が保存できると判断できれば生活歯髄療法、歯髄を保存できないという判断になれば根管治療が適応となります。

歯髄と根尖周囲組織の診査内容

歯髄の神経の反応は、冷たい刺激、温かい刺激、電気(微量の電流なので心配はないです)で、歯髄の炎症が根の先に広がっているかどうかは、歯をコンコンと軽く叩いて打診痛があるかどうか、根の先を押して痛みがあるかどうかでみています。
これらの診査について、ももこ歯科で生活歯髄療法根管治療を受けた経験がある患者さんの感想は、『あれですかー。』といった感じです😅
もう少し知りたい方は、このブログをお読みください。

歯の神経を抜く必要が、その歯はあるでしょうか?

大きな虫歯ができたけど、痛くはない。でも、神経を取らないといけないのかな?

ちなみに、歯髄と根尖周囲組織の診断は別々にします。
歯髄と根尖周囲組織の診断はそれぞれ整合性が合わなければいけません。
たとえば、歯髄の診断が壊死で根尖周囲組織の診断が根尖性歯周炎の場合は、根管治療の適応になります。
歯髄の診断は正常なのに、根尖周囲組織の診断が根尖性歯周炎の場合は、根管治療の適応にはなりません。この場合は、もう一度診査を行なったり、歯科医師自身の診断に自信が持てるまで問診を続けたり、時間をおいて診断できるタイミングを待つか(これを待機的診断と言います)、別の診断でその治療をするかします。
いずれの場合も、歯髄と根尖周囲組織の診断は、整合性が合うことが大前提で、治療を進めます。

歯髄の診査項目はなぜ多いか

歯髄の神経の反応をみるために、3種類もの診査項目がある理由は、冷たい刺激と電気には同じ神経が反応していますが、温かい刺激には別の神経が反応しているからです。それから、本来であれば血流をみたいのに神経の反応をみて歯髄の状態を診断しなければならないので、種々の診査を行なって複合的に考察し、診断する必要があるのです。

Aβ線維、Aδ線維、C線維

冷たい刺激と電気には、歯髄の浅いところに分布しているAδ線維とAβ線維が反応しています。
温かい刺激には、歯髄の深いところに分布しているC線維が反応しています。
低酸素状態だとAδ線維とAβ線維は機能しませんが、C線維は機能します。
神経が死んでいる=歯髄が壊死している状態であれば、歯髄に血流はありません。赤血球のヘモグロビンが酸素と結合して体中に酸素を運搬してくれます。しかし、血流がないところには、酸素が運搬されていないのです。
よって、歯髄が壊死しても、C線維だけは反応する可能性があります。

根尖周囲組織の診査結果の解釈について

歯をコンコンと軽く叩くだけで痛みがあったり、根の先を押すと痛みが出たりします。歯髄の炎症や壊死の状態が影響し、根の先に病気ができると、歯をコンコンと軽く叩くだけで痛みを認めたり、根の先の病気が骨から押し出されると、根の先を押したら痛みがあります。

歯髄壊死はどんな症状か?

痛み、かむと痛い、腫れてる等々の症状を認めます。
痛みは2種類あり、何かの刺激を受けて起こる痛みと刺激がなくても感じる痛み=自発痛です。診査をすると、冷たい刺激・温かい刺激・電気にまったく反応しない場合と、温かい刺激にのみ反応する場合があります。
『かむと痛い』『腫れてる』と言った症状は、根の先に病気ができている場合に認めます。歯をコンコンと叩くと痛みを認めたり、ロールワッテをかむと痛みの再現ができたり、根の先を押すと痛みを認めます。

次回は、上記の知識を踏まえて、実際のケースでみていきます。

お楽しみに。

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