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2020.8.4

穴があいてる歯は治るか〜part4 分岐部穿孔症例〜

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

歯肉界隈の穿孔は歯周病にかかりやすい、と前のブログでお話ししました。

今回のブログは、大臼歯の分岐部に穿孔があった症例です。
分岐部に穿孔があると、歯周病にかかりやすいため治療をしても経過不良になることがあります。しかし、このケースは術後10ヶ月まで経過観察し、経過良好でした。

分岐部はどこ?

分岐部は、小臼歯や大臼歯にあり、歯根と歯根の間の分かれ目(白い丸)のところです。
分岐部は、以前のブログでお話ししたように歯肉界隈の部分になりますから、分岐部に穿孔があると歯周病にかかりやすく症状は改善しにくいです。

実際の症例

患者さんは39歳女性。
主訴:左上歯肉からが出てくる。口臭を感じる。
初診日:2019年5月17日
現病歴:2019年2月頃から左上の歯肉からが出てきて腫れている。時々痛みもあり、ある歯科医院で治療を受けたが腫れや痛みは治らず、当院を受診されました。

初診時口腔内写真の矢印は、『腫れてが出る』と患者さんがおっしゃっているところです。右下のレントゲンは、矢印からレントゲンに感光する材料を入れて撮影したもので、感光する材料は左上第一大臼歯分岐部に到達します。原因の歯は左上第一大臼歯と判断しました。左上第一大臼歯をコンコンと叩くと痛みがあり、歯肉を押すと痛い、歯周ポケットは限局的に6mmのところがありました。

術前のCTより穿孔が分岐部にありました。だいたい直径1mmくらいです。

根管治療中に、歯肉の腫れと痛みは改善し、穿孔部は封鎖性が良いMTAで充填しました。

根管治療が終了してから3ヶ月後に経過観察したところ、腫れはもちろん痛みも改善し、歯周ポケットは3mmと、術前の6mmから良くなりました。

近心頬側根管に破折ファイルが残存していました。破折ファイルを除去するかしないかの意思決定については、別の機会にお話しします。

なぜ治ったか?

穿孔が原因で、腫れたり痛みのある歯が治る要件は以前のブログでお話ししたように、①封鎖 ②時間 ③大きさ ④部位です。それぞれ考察します。

封鎖性の良い材料緊密に充填し、穿孔の大きさは比較的大きめでした。穿孔した部位は分岐部でしたが、前回の治療から時間がさほど経過しておらず、歯周組織に対するダメージが少なかったせいか、歯周ポケットは3mmと改善し、歯肉の腫れも消退し痛みもなく症状は改善できたと思います。

根管治療後10ヶ月しか経過観察ができなかった理由は、患者さんが転居されたからです。現在も経過が良いことをお祈りしています。

次回は、別のトピックについてお話しします。

お楽しみに。

 

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