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2019.4.2

根管治療を失敗させない=成功させる要件〜その4〜

ももこ歯科のブログを読んでくださるみなさま、いつもありがとうございます☺️

今回のブログは、根管治療を失敗させない=成功させる要件〜その4〜
根管治療中における細菌の除去:歯根部分編です。
歯根部分編は、今回を含めて3回に分けてお話しします。
今回(初回)のお話しは、歯根のどこが汚れているか、
次回は、汚れを取るための守るべきルール、
歯根部分編の最終回は、汚れを取ろうとしすぎた結果…
以上となります。

歯根のどこが汚れてる?

根管にいる細菌を除去することが、根管治療の目的となります。
さらにいうと、一番汚れている歯根の先っぽ、
つまり根尖部分をきれいにすることが、
根管治療を失敗させない=成功させる要因の最重要過程です。

根尖部が最も汚れている根拠

Armitageらが発表した1983年の論文*で、根尖部分が一番汚れている、
と報告されていました。
根管が重度に感染している歯と歯髄炎あるいは感染していない根管を持つ歯をそれぞれ20歯ずつ用いて、根管の汚染度を比較しました。

図1右の歯は、重度に感染している根管を持つ歯の例です。
図1左の歯は、歯髄炎の根管を持つ歯の例です。
細菌は、唾液によって運ばれます。
唾液がダイレクトに根の中に入っていきそうな歯は、
歯の頭の部分がなくなっている図1右の歯の方でないかと
なんとなくわかると思います。

ここで、歯の構造を説明します。

地図を見る感じで気軽に図2を見てくださいね。
歯の頭で白いところをエナメル質と言います。
エナメル質の中にあるものは象牙質と言います。
象牙質はオレンジ色のところで、
象牙細管という中腔構造(茶筒のようなイメージです)からなる組織です。
象牙質の内部には歯髄(赤いところ)といって、
血管や神経が入っている組織があります。
歯髄は、『歯の神経』としてよく表現されるところです。
象牙質の周りには、セメント質が存在しています。
細菌は、唾液によって運ばれて歯に接触し、
エナメル質に入って行くと象牙細管をつたって歯髄に侵入します。
歯根部分では、細菌が根尖方向へ進む場合もあれば、
象牙細管を介してセメント質まで入り込むことがあります。

Armitageは、根管がどのくらい汚染されているか、
細菌がセメント質まで侵入しているかどうかで汚染度を比較しました。
その結果、根管が重度に感染している歯の象牙細管に細菌を認めた歯が、20歯中7歯、7歯中5歯はセメント質まで細菌が侵入しており、7歯中4歯は根尖に細菌が存在していた、と報告していました。
よって、根尖部分の細菌を除去することが、
歯根の先の病気(膿)を作らない、あるいは再発させない、
根管治療を失敗させない=成功させる要件です。

参考にして欲しいブログ❤️

歯根部分の細菌を除去するために、
大事な基本コンセプトを以前のブログでお話ししました。
以下のリンクを良かったら参考にしてみてください。

機械的拡大

歯根の治療の方法パート1〜機械的拡大について〜


洗浄・貼薬

歯根の治療(根管治療)の方法パート2〜洗浄剤と貼薬剤がなぜ必要か?〜

歯根の治療(根管治療)の方法パート3〜次亜塩素酸ナトリウムと水酸化カルシウムについて〜

根管治療で使う薬剤の注意事項〜次亜塩素酸ナトリウムと水酸化カルシウムの危険性について〜

次回のお話は、
最も汚れている根尖部分の細菌を除去するためのルールについてです。

お楽しみに。

*Armitage, Gary C., Mark I. Ryder, and Samuel E. Wilcox. “Cemental changes in teeth with heavily infected root canals.” Journal of Endodontics 9.4 (1983): 127-130.

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