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[記事公開日]2017/11/27
[最終更新日]2018/11/08

根管治療で歯の痛みは取れるのか?

みなさん、こんにちは。いつも、ももこ歯科のブログを読んでいただきまして、ありがとうございます。

今回のブログは、根管治療を行なった後も、痛みがあるのかどうか、というお話です。

痛みを取る目的で、根管治療を行うにもかかわらず、余計に痛くなるのではないか、と不安に思う患者さんも多いと思います。

私の個人的な感覚としては、痛みや腫れがある患者さんの症状が改善する確率の方が高いように思います。一方で、痛みの軽減目的で根管治療を行なったにもかかわらず、痛みが強くなったり、腫れがひどくなる患者さんも、まれにいらっしいます。

それでは、痛みがある患者さんに、根管治療を行うと痛みが取れるかどうかについてと、最近報告された興味深いトピックついてお話します。

Oguntebi(1)らは、問診や診査の結果、1763名の痛みがある歯髄炎の歯を学生が3種類の方法で治療した後、痛みをどのくらい改善できたか調べました。

3種類の治療法とそれぞれの患者数は、断髄394名、部分抜髄346名、抜髄216名です。すべての前歯と小臼歯が抜髄、大臼歯においては断髄と部分抜髄、抜髄が行われました。

抜髄とは、神経を取る治療のことで、根管治療と同義です。治療法の説明に移ります。図1は、各治療法を行った後のイメージ像です。赤いところが歯髄組織、オレンジは仮封剤です。

断髄(図1):歯冠部歯髄を除去しました。

部分抜髄(図2):レントゲンで根管の長さを計測後、滅菌したブローチで歯髄組織を除去しました。

抜髄(図3):大きな根管は、ブローチで歯髄組織を除去した後、作業長に初めて到達したファイルより2サイズ大きいファイルで拡大、小さな根管は作業長に初めて到達したファイルより2サイズ大きいファイルで拡大しました。この方法を簡単に説明すると、ブローチという器具で大まかに歯髄を取り除き、ファイルを使って残りの歯髄組織を除去していく、というイメージです。

それから、当院のホームページ根管治療基本コンセプトを厳守した根管治療の成功率で、根の先に病気がない神経を初めて取る治療のケースが抜髄という治療の成功率です。根管治療を行う病気の中で、最も成功率が高いものになります。参考までに、以下のブログをご参照いただければ、ご理解いただけると思います。

2017.2.6歯根の治療の方法パート1〜機械的拡大について〜
2017.2.16歯根の治療の方法パート2〜洗浄剤と貼薬剤をなぜ使うか〜
2017.2.24歯根の治療の方法パート3〜次亜塩素酸ナトリウムと水酸化カルシウムについて〜

いずれの治療法も、2.5%NaOClを使って洗浄しており、仮封剤はいずれの治療法にも酸化亜鉛ユージノールセメントを使っています。また、貼薬剤を使ったという記載はありません。
術後の疼痛管理については、全患者が平等に行われ、同じ鎮痛剤を等量に処方されています。
鎮痛剤を内服しても、術後の痛みがあった患者さんは、1763名中126名(7.14%)でした。
治療法別に、痛みがあった患者さんは、断髄が394名中30名(8%)、部分抜髄は346名中44名(13%)、抜髄が216名中14名(6%)でした。

この結果から、除痛目的に応急処置を行うのであれば、抜髄が有効でしょう。根管治療の後、痛みが出ることはありますが、冒頭でお話しした通り、痛みが取れた人の方が多いことは、Oguntebi(1)の報告からも明らかです。

では最近、一般的には抜髄になる症例に対し、生活歯髄療法を行った報告をご紹介します。

Taha(2)らは、20歳以上で50名の歯髄炎の患者に、部分断髄を行いました。部分断髄とは、当院のホームページ生活歯髄療法で紹介している方法と同じです。
50名の歯髄炎とは、痛みがあり、診査の結果歯髄の炎症が不可逆性の状態だった、と判断された症例です。
50名のうち、27名がMTA、23名は水酸化カルシウムで覆髄後、アマルガムかコンポジットレジンで充填されました。2年後の治療成績は、MTAのグループが22名、水酸化カルシウムのグループは10名が成功しました。

歯髄の病態と臨床症状は一致しないことがあります。それから、生活歯髄療法の成功は、正確な診断と感染のコントロールが最も大切です。感染のコントロールは、術中と術後に分けて考えます。

まず、術中は徹底的に感染歯質を取り除くこと、もちろんラバーダムを行うことが必須条件です。術後については、封鎖性の高い材料で唾液の侵入を防ぐことが大切です。
Tahaらの報告では、封鎖をコンポジットレジンとアマルガムで行っています。この2つの材料について、治療成績に差があったかどうか、言及されていないのでわかりません。一方で、MTAと水酸化カルシウムの封鎖性については、多数ある過去の報告からも明らかで、Tahaらと同様、MTAの方が良好のようです。

ところで、MTAで封鎖すれば、一般的には根管治療が適応の病気であっても生活歯髄療法を行ってもいい、ということにはなりません。
この報告は、歯髄の病態と臨床症状が必ず一致するとは言い切れないので、一般的には根管治療が適応の病気でも部分断髄を行った2年後、MTAで封鎖したグループは27名中22名の成功が確認できた、という結論です。この論文のみで判断することはなかなかできませんが、今後に期待したいところです。できれば、歯髄を保存したいですものね。

(1) Oguntebi, Bamiduro R., et al. “Postoperative pain incidence related to the type of emergency treatment of symptomatic pulpitis.” Oral surgery, oral medicine, oral pathology 73.4 (1992): 479-483.。

(2) Taha, Nessrin A., and Mohammad A. Khazali. “Partial Pulpotomy in Mature Permanent Teeth with Clinical Signs Indicative of Irreversible Pulpitis: A Randomized Clinical Trial.” Journal of Endodontics 43.9 (2017): 1417-1421.

カテゴリー:痛み, 根管治療 タグ:

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