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2015.5.27

細菌撃退法 〜プロローグ〜

すっかり暖かくなり、凄しやすくなりましたね。一番いい季節です。

野菜もおいしくなり、ついつい食べ過ぎてしまう悪いクセが出てきます。

さて、今回は、細菌撃退法における三種の神器?のお話です。一つは、器具操作(機械的拡大)、あとの二つはお薬(根管洗浄と根管貼薬)です。

前回のブログでお話ししたように、根の中は非常に複雑な形態です。しかし、解剖形態を壊してはいけませんから、ある指標を設けて治療を行います。
ある指標=根管最狭窄部です。
ここを壊してしまうと、細菌を外に押し出すことになり、根尖性歯周炎を引き起こすことになりかねません。この指標を基準にして、三種の神器は行われます。

木本喜史著:臨床根管解剖—基本的知識と歯種別の臨床ポイント ヒョーロン 2013年6月4日発行

<細菌撃退法:三種の神技 −その1(機械的拡大について)>

器具操作をするにあたり、器具を入れてもいい長さと太さを決めなければなりません。この長さと幅は、細菌を撃退し、なおかつ解剖を壊さないようにする目的で決定します。もちろん、器具操作に関しては、ストレートな根管であれば簡単ですが、カーブをしている根管は、難しくなります。
上の図において、根管最狭窄部まで細菌を撃退していくことを目安に器具操作を行います。ここより手前だと、細菌を残してしまい、ここを過ぎると解剖形態を壊し、細菌を外に押し出してしまうことになります。
細菌を撃退するための長さと幅は、根管最狭窄部で決定します。根管最狭窄部の形態は、長楕円型、楕円型、円型、リボン型等々、様々な報告があります。しかし、根管内をキレイにする器具は、キリモミのように、つまり、円を描くように動かします。ですから、根管の全周に対して器具を接触させることはなかなか困難で、未接触の根管は35%も残ってしまう、と言われています。

Peters OA, Laib A, Gohring TN, Barbakow F. Changes in root canal geometry after preparation assessed by high-resolution computed tomography. J Endod 2001: 27: 1–6.
Peters OA, Peters CI, Schoenenberger K, Barbakow F. ProTaper rotary root canal preparation: assessment of torque force in relation to canal anatomy. Int Endod J 2003: 36: 93–99.

 

 

 

 

 

では、どのようにしたら、残りの35%の根管壁に存在するかもしれない細菌を撃退していけるのでしょうか。

<細菌撃退法:三種の神器その2−洗浄薬と貼薬剤>

機械的拡大で、不十分なところをきれいにするために、洗浄薬と貼薬を使うことで、さらに細菌の数を減らすことができます。
洗浄薬は2種類使います。一つは削りかすを取ってくれるようなもの(EDTA)、もう一つは消毒のために使うもの(次亜塩素酸ナトリウム:NaOCl)です。それぞれの相乗効果で抗菌効果を発揮してくれます。
それから、もう一つ、貼薬とは、根の治療が終わったら根の中にお薬(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)のことです。水酸化カルシウムは強アルカリという性質のため、消毒効果を発揮してくれます。
以上、細菌撃退法をご紹介しました。ここで一番活躍する主力選手は、機械的拡大です。しかし、これだけだと、どうしても細菌が残ってしまいます。そこで、主力選手をサポートしてくれるのが洗浄薬と貼薬剤です。3選手のハーモニーがうまく合わさって、治療を成功に導いてくれるのです。

 

 

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