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根管治療を失敗させない=成功させる条件 その9〜かぶせ物について〜

根管治療  / 根管治療後のかぶせもの  / 院長ブログ

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

根管治療を失敗させない=成功させる条件シリーズが、いよいよ終盤です。

今回は、根管治療後のかぶせ物についてです。

根管治療後かぶせた≠治った

患者さんは、根管治療後かぶせたら”治った”と思うようですが、残念ながらかぶせた後でも、虫歯になることはあります。
しかし、根管治療後かぶせた歯に虫歯ができても、発見が遅くなる傾向にあります。
理由は、思いつくところで以下の通りです。

1. 痛みを感じない
2. 舌感が悪くなることはほとんどない
3. レントゲンで不明瞭

根管治療済みの歯は神経がなくなっているので、痛みを感じることはありません。
それから、虫歯が大きくなったせいで歯に穴があいて気になる、と歯科医院を訪れる患者さんもいらっしゃいますが、根管治療後の歯に、クラウンという歯を覆うようなかぶせ物が入っていると、クラウンの縁から虫歯になっていくので、舌感が悪くならず、歯科医院側で初めて気づけることが多いような気がします。
それに、歯科医院でレントゲンを撮影しても、かぶせ物が金属の場合、虫歯と金属が重なって写り、虫歯の存在が不明であることが多いです。

根管治療後にクラウンをかぶせた歯が虫歯になって患者さんが気づくとしたら、フロスを通すと臭くなってきた、歯間ブラシを通すとここだけくさい、フロスが切れる、食べかすが詰まる等々の発見から、かぶせ物を取ると実は虫歯だった、ということが少なくありません。このような症状がなくても、一度根管治療を行なった歯のかぶせ物をはずすと、大きな、あるいは深い虫歯があって、歯を残す条件を悪くしていることがあります。

根管治療後かぶせた歯に虫歯ができている症例

根管治療をした歯のかぶせ物の縁から虫歯になっていた症例です。根尖性歯周炎も存在しています。根尖性歯周炎の原因は、かぶせ物の縁からの虫歯が原因か?根管の感染が原因か?両方か?いずれにしても、感染を疑う部分はすべてきれいにするように根管治療を行いました。

図1の症例は、52歳男性。

以前通院していた歯科医院で、根の先に膿がありこれから痛くなるかもしれないので、根管治療を受けた方がいい、と言われ、ももこ歯科を受診されました。

図1右のレントゲン写真の白い矢印が指しているところは、虫歯です。かぶせ物と歯根の間にスペースがあります。
図1左上の写真は、かぶせ物をはずしたところで、白い矢印は虫歯を指しています。
図1左下の写真は、土台を取って虫歯を取ったところです。白い矢印は図1左上の写真で虫歯があったところです。歯質が黒く見えますが、土台の金属のイオンが歯質に浸透したためです。この後、隔壁を作って根管治療を行いました。

図2は、土台をはずして虫歯を取った後、根管をきれいにしている最中の写真です。

図2左の写真は、根管の中が汚染され、なんとなく汚いな、という印象があると思います。
図2右の写真は、根管に充填されていたガッタパーチャを除去しているところです。
ガッタパーチャは本来ピンク色ですが、ガッタパーチャの上に何か汚染物が付着していて、赤褐色に変色しています。

図3は初診時と根管治療後6年のレントゲンです。

虫歯をきれいに取り、無菌的処置を徹底した根管治療を行なって、フィットしたかぶせ物をかぶせると、根管治療後6年の時点で経過良好です。

まとめ

根管治療を行った歯が虫歯になっても、痛みを感じることはほとんどないです。それは以前根管治療を受けた際に、神経を取っているから痛みを感じない歯になっています。患者さんがかぶせ物が取れたからつけて欲しい、と取れたかぶせ物を持参して歯科医院を受診しても、取れたかぶせ物がそのまま戻せるとは限りません。以前根管治療をしたことがある歯でかぶせ物が取れた場合は、再根管治療が必要になるか、抜歯になるかもしれません。

ももこ歯科では、根管治療をしたことがある歯で、かぶせ物の縁と歯の間にスペースがある場合、かぶせ物をはずして根管治療を行い、新しくかぶせ物を作ることを患者さんに提案しています。かぶせ物がいつか取れた際、そのままかぶせ物が元に戻せず抜歯になるかもしれないからです。痛みを感じない場合は要注意です。

患者さんが根管治療をしたことがある歯のかぶせ物の縁と歯の間のスペースに気づくことはなかなか難しいです。歯科医院側が定期検診あるいは経過観察で確認をしていき、患者さんに情報提供する方が多いと思います。患者さんもおかしいな、気になるな、という症状があれば、遠慮なく歯科医師にお話ししてみてください。重症にならずに済むかもしれませんし、経過観察で様子を見ていくことになるかもしれません。抜歯を避けたいのは患者さんも歯科医師も同じです。

全然関係ありませんが、現在2025年10月15日本ブログを編集しています。2019年7月22日のブログですが、2019年の初診時のレントゲンと根管治療後6年のレントゲンをあげることができました。

次回のブログもお楽しみに。