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- 2019.11.8
歯をもたせるための、豆知識〜その3 虫歯編②〜
ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。
今回のブログのテーマは、
歯をもたせるための豆知識虫歯編②『どうやったらもたせることができるか』
です。
当たり前のことですが、虫歯にならないことが一番大切です。
しかし、虫歯になってしまったら、重症化しないうちに、適切な治療を受けることが、歯をもたせる重要なポイントです。
そうはいっても、痛みが出るくらいの虫歯は相当大きくなっていますし、痛みが出るまで気がつかないこともありますよね。
状況はどうであれ、虫歯の治療をするとなった時点で、気にかけて欲しいことを以下に示します。
1. 歯髄(神経)を保存できるかどうか
2. 虫歯を取った後のかぶせ物のフィット感
歯髄保存とかぶせ物のフィット感が大事!!
虫歯の治療で、歯髄を保存できるかどうかは、大きなポイントになります。
歯髄保存ができる虫歯であれば、後々大きなメリットがあります。
それから、かぶせ物のフィット感は非常に大切です。フィット感の良いかぶせ物は、きちんと封鎖ができるので、虫歯の治療の後、良好な治癒経過を期待できます。要するに、フィット感の良いかぶせ物は、虫歯の再発を予防してくれる効果があります。
では、実際の症例でみてみましょう。
症例1は、45歳女性。
主訴は、「左下の奥歯の銀歯が取れた」です。
当院に通院してくださる患者さんで、同部の銀歯と歯の間に隙間がある(症例1-1左の写真矢印)ために虫歯のリスクがあり、銀歯を除去して治療をする予定でした。
銀歯が取れた時の歯の内面は、症例1-1右の写真の通りです。ブルーと黄色の矢印は左右の写真で同じところを指します。どちらかというと黄色の矢印が指すところの方が汚れている感じです。このように、かぶせ物と歯の間に隙間ができていると、内面は虫歯になっていることがあり、虫歯の治療後に銀歯を入れてからしばらく経過していて治ってると思っていても、再び虫歯になることがあるのです。2019年7月8日に生活歯髄療法を行うことになりました。
症例1-2は生活歯髄療法前後のレントゲン写真です。
わりと大きな虫歯はありましたが、歯髄は保存できる状態でした。
1年前に銀歯と歯の間に隙間があることを指摘していた時に治療を開始していたら、歯髄の一部を除去せずに済んだかどうかはわかりません。
それに、銀歯と歯のフィット感の悪さに気がつくことは難しいです。
しかし、症例1-1の患者さんがラッキーだったことは、歯髄保存ができるタイミングで虫歯の治療を受けられたことです。
今後も、経過観察を継続していきます。
症例2は、51歳女性。
当院に通院してくださっている方で、以前からかぶせ物のフィット感が良くないので、治療をご提案していました。
症例2-1の左上下の写真は口腔内写真です。
症例2-1左上写真の◯で囲っている歯の銀歯のフィット感が良くありません(症例2-1右写真)。
しかし、症例1の患者さんも症例2の患者さんも、フィット感の悪さを感じていらっしゃることはありません。根管治療の経験がなく部分的に覆っている銀歯(症例1のような銀歯)の歯であれば何かの拍子に銀歯が取れたとしても、虫歯で歯が崩壊しすぎて残せないという状況は少ないですが、根管治療の経験があり歯をすべて覆っている銀歯の場合、患者さんが『取れた』と銀歯を持参し歯科医院を訪れる際には、虫歯で歯が崩壊して残せなくなっていることは少なくありません。
歯がもたなくなる状況を回避するため、患者さんの自覚症状はありませんでしたが、治療を行いました。
症例2-2左の写真は、かぶせ物をはずしたところで、黒いところが虫歯です。
かぶせ物をはずした後の虫歯の重症度を私の経験に限った印象では、この症例は軽症です。理由は、歯を保存することが可能だからです。
根管治療をしたことがある歯のフィット感が悪いかぶせ物をはずすと、かぶせ物の中は、抜歯せざるを得ない状況になっていることは根管治療を経験していない歯よりも多いように思えます。
症例2-3は、根管治療前後のレントゲンです。
今後も、経過観察を継続します。
根管治療の経験の有無にかかわらず、
かぶせもののフィット感の良し悪しは、その歯の運命を決める要素の一つといっても過言ではありません。
また、かぶせ物のフィット感が良くないと判断された場合は、歯髄保存ができるのであればなおさら、予防目的で積極的な治療をすることも良い提案だと思います。
では、歯をもたせるための豆知識シリーズはここで終了します。
次回のブログもお楽しみに。