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- 2022.2.25
NiTiファイルの各部位について2
ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。
今回も、前回に引き続き、NiTiファイルの各部位について第二弾です。
前回は、ピッチとテーパーについてお話ししました。
今回は、カッティングエッジとランド、フルートについてお話しします。
カッティングエッジとランド
カッティングエッジとは、ファイルの”刃”のことです。
カッティングエッジによって、根管壁を切削したり、歯髄をからめ取って、細菌を除去します。
しかし、根管壁を削ろうとしてばかりいると、ファイルが根管壁に食い込み、破折しやすくなります。そのために、ランドが存在するファイルがあります。ランドとは、上の図の黒い三角矢印が指す幅で、根管壁を切削する際カッティングエッジを支える役割があります。一方で、ランドがないファイルもあります。ランドの代わりにデザインを工夫して、ファイルの根管壁に対する食い込みを予防しています。
ランドの代替えとして、Alternating Contact Pointというデザインがあります。
根管壁に接触するピッチの次のピッチは、接触しない部分、その次が接触する部分…というように、根管壁に接触するピッチが交互になるようにデザインされており、根管壁と接触する際に生じる圧をリリースしながらNiTiロータリーファイルを根尖へ進めていきます。
ファイルの根管壁に対する接触点は、3点の箇所もあれば2点の箇所もあるし、1点、あるいは接触していない部分もあります。
カッティングエッジの根管壁に対する角度は2種類あります。
ランドがあると、左上の図のように、カッティングエッジが根管壁に対してほうきではくようなイメージで接触します。一方で、ランドがないファイルの場合は、根管壁に対してカッティングエッジはカンナで削るように接触します。
ランドの有無については、どちらが優れているということはなく、術者の好みでNiTiファイルを選んでいいと思います。
このように、ファイルで根管壁を切削しながら細菌を除去したいけれども、ファイルの破折を予防しなければならない、という矛盾をいかに解決していくかが、NiTiロータリーファイルに求められる条件です。
フルート
カッティングエッジで切削した削りかすをためるところです。
フルートのおかげで、カッティングエッジの切削能力を最大限発揮できるようになっています。フルートの能力は、深さと幅に依存します。
深いフルートは、削りかすをいっぱいためてくれますが、その分ファイルが細くなるので、破折しやすくなります。また、フルートの幅があるほど次のカッティングエッジまでの距離が長くなり、切削能力に影響が出てくるのと、仮に幅が広く深いフルートでは、ファイルは破折しやすくなるし、フルートが浅いと削りかすを溜めにくくなり、切削能力に影響が出ます。
あれを優先すればこれが活かせない、これを優先すればあれが疎かになる、というふうに、ファイルのデザインはなかなか難しいですね。なにごとも、いい塩梅が一番です。
次回からは、またNiTiロータリーファイルの歴史に戻ります。
お楽しみに。