ブログ

[記事公開日]2017/01/26
[最終更新日]2018/11/08

歯根の先に膿(根尖性歯周炎)を作らない、そして治すための、基本コンセプトって何?

みなさん、こんにちは。
今回のブログは、『基本コンセプト』は、歯内療法のルールである、というお話です。

歯内療法根の治療)の目的は、根尖性歯周炎(歯根の先に膿ができること)の予防と治療で、根尖性歯周炎の原因は、細菌です。細菌を安全に取り除くことができれば、根尖性歯周炎は予防、かつ治る可能性が高くなります。よって、歯内療法基本コンセプトは、細菌を安全に取り除くことを目的とした『無菌的処置』と『解剖形態の維持』です。無菌的処置には、歯の中に細菌を入れさせない処置と、歯の中の細菌を除去する処置があります。

基本コンセプト

左の図:歯の中に細菌を入れさせない処置には、ラバーダム防湿歯の消毒器具は可能な限りディスポーザブル化することが含まれます。

歯の中に細菌を入れさせない処置

左の図:歯の中の細菌を除去する処置には、機械的拡大、洗浄、貼薬があります。機械的拡大とは、切削器具を使って感染している部分を除去すること、洗浄は、機械的拡大によって生じた削りカスや感染した部分を洗い流すこと、貼薬は治療と治療の間に根管を消毒することです。
この3つの処置のうち、細菌の除去に最も効果を示すのが、機械的拡大ですが、一つでもかけてしまったら、理想的な細菌の除去はできません。

機械的拡大、洗浄、貼薬

最後に、もう一つの基本コンセプト:解剖形態の維持についてです。
根管系の解剖は、左の図(1)に示す通り、とても複雑です。この複雑さが原因で、根管内の細菌がゼロにならない=治癒を妨げます。だから、根管治療の成功率は、100%にはならないのです。
根管内を積極的にアプローチした結果、解剖形態が破壊されてしまうと、細菌の除去が不十分になる、または、根管の外に細菌を押し出す危険があります。

解剖形態の維持

 左の図(2)(3)は、機械的拡大中にオリジナルの根管から逸脱したものです。左の場合は、器具操作が歯根の中にとどまってはいるものの、壊された部分の掃除をしにくくなるため、細菌を理想的に除去できず、取り残す可能性があります。右の場合は、歯根の外に器具や材料が飛び出しており、細菌を押し出す可能性があるため、自ら根尖性歯周炎を作ってしまう可能性があります。過去の報告で、再治療のケース(以前に根の治療をしたけれども、もう一度根の治療を必要とする場合)の成功率を比較した時、術前に解剖形態が維持されているケースは維持されていないケースよりも高い成功率でした(4)

オリジナルの根管形態を維持しながら、根管内の細菌を除去することはとても大切です。

以上より、歯内療法を成功させるために、基本コンセプトの厳守は、とても重要です。

最近、患者さんから、『ラバーダムをしてくれますよね?』『ラバーダムをしてくれるから、来ました』あるいは、『マイクロスコープがあるから来ました』等々言われることがあります。インターネットの普及によって、いろんな知識が得られる便利な世の中になりました。時折、こちらが恐縮してしまうほど、とても勉強されている患者さんがいらっしゃいます。

そこで、私は、
『基本コンセプトこそ、患者さんにもっと知ってほしい』
のです。交通ルールを知らない、守らないドライバーが車を運転したらどうなるか?恐ろしい結果が待っています。しかし、交通ルールを知っていることはもちろん、厳守しているドライバーの運転は、安全かつ、周りから見ていても安心できるし、信頼できます。

歯内療法も同様です。基本コンセプトは、歯内療法のルールです。基本コンセプトを厳守している歯科医師が、マイクロスコープをのぞいて細菌に感染している部分をていねいに安全に取り除けば、文献上の成功率は約束されます。

次回は、基本コンセプトの無菌的処置:『歯の中の細菌を除去する処置』についてお話しします。お楽しみに。

 

(1) Vertucci, Frank J. “Root canal morphology and its relationship to endodontic procedures.” Endodontic topics 10.1 (2005): 3-29.
(2)Hülsmann, Michael, Ove A. Peters, and Paul MH Dummer.
“Mechanical preparation of root canals: shaping goals, techniques and means.” Endodontic topics 10.1 (2005): 30-76.
(3)Metzger, Zvi, Michael Solomonov, and Anda Kfir.
“The role of mechanical instrumentation in the cleaning of root canals.”
Endodontic Topics 29.1 (2013): 87-109.
(4)Gorni, Fabio GM, and Massimo M. Gagliani. “The outcome of endodontic retreatment: a 2-yr follow-up.” Journal of endodontics 30.1 (2004): 1-4.

カテゴリー:根管治療, ラバーダム タグ:

記事検索

ページトップへ