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2024.1.17

ももこ歯科での根管治療9〜サイナストラクトは治るのか症例5歯内歯周病変編〜

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆さま、いつもありがとうございます。

前回は根管治療歯根端切除術によりサイナストラクトが治癒したケースですが、
今回は根管治療意図的再植術サイナストラクトが治癒したケースです。

では、早速症例についてお話しします。

症例5概要

患者:60歳女性

主訴:右上の歯肉が腫れている、咬むとフニャッとしている

現病歴:2021年9月頃、右上7に痛みがあり、かかりつけの歯科医院で咬合調整を行ったが、歯肉の腫脹は改善しないので、当院を2021年10月20日に受診した。

口腔内所見:

2021.10.20 口腔内正面

上の写真の矢印が、患者さんの主訴『歯肉が腫れている』ところです。もう一つの主訴『咬むとフニャッとする感じ』は、ロールワッテを咬んでもらい、打診を行ったところ、患歯は右上7と判断しました。

つづきまして、右上7がどんな病気になっているのかを診断するために、診査をしていきます。

診査・診断

打診痛と根尖部圧痛は右上7に認め、隣在歯と対合歯には認めませんでした。右上7の歯周ポケットは、頬側中央が6mm、近心口蓋側は8mmで、生理的動揺を呈していました。ここまで終えたら、X線の撮影をします。

私はいつも、バイアスが入らないように、診査を終えて患歯と仮の診断をしてから、レントゲンやCTを撮影します。

右上7根尖部から分岐部にかけて透過像を認めます。全体的に『粗』な根管充填です。
では、透過像の範囲がどのくらいか確認するため、CTを撮影します。

右上7遠心頬側根

右上7近心頬側根

右上7口蓋根

近心頬側根は、扁平な形態を呈しており、近心頬側第二根管が形成されていないように見えます。
各歯根の根尖部に透過像を認め、分岐部病変も存在しています。

診断:
① 既根管治療歯・症状がある根尖性歯周炎
歯内歯周病変
歯根破折

既根管治療歯とは、以前根管治療をした歯に根尖性歯周炎が発症している状態を意味します。
歯周ポケットが深く、分岐部病変と根尖部透過像とも連続していることから、歯内歯周病変歯根破折を疑います。

治療方針は、根管治療あるいは抜歯を患者さんにご提案しました。

根管治療で歯肉の腫脹が改善しない場合は外科的歯内療法が適応になります。第二大臼歯は器具の到達が不可能の場合が多いので、意図的再植術を施行すること、根管治療中に歯根破折を発見した場合は治療を中断することを患者さんにお話ししました。当院では、歯根破折を発見した場合、長期予後は期待できないと判断して、抜歯をご提案しています。歯内歯周病変の場合は、歯内療法(根管治療外科的歯内療法)を行った後に、歯肉の腫脹が改善しなければ歯周治療を行うこと(以前のブログでお話ししたフローチャートをご参考にしてください)、意図的再植術で抜歯を行う際は歯根破折を起こす可能性があること。以上を患者さんにお話しした結果、患者さんは根管治療を選択されました。

次回は、根管治療を行って歯肉の腫脹がどうなったかお話しします。

お楽しみに。

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