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2023.10.23

ももこ歯科での根管治療6〜サイナストラクトは治るのか 症例4歯内歯周病変編〜

ももこ歯科のブログを読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。

今回のケースは、サイナストラクトがあり、深い歯周ポケットが存在する歯内歯周病変です。前回までのケース:サイナストラクトがあり、浅い歯周ポケットが存在する歯内歯周病変と治癒はどのように異なるか、みていきます。

概要

患者:48歳男性

主訴:左下が腫れていて、浮いた感じがする

患歯:左下6

現病歴:2017年に冷水痛があり、歯科医院を受診し、左下6根管治療を行った後から、なんとなく調子が悪かった。しばらくすると、サイナストラクトが出現し、かかりつけの歯科医院を受診するも、手立てがないと言われ、ももこ歯科を2019年7月13日受診した。

診査・診断

初診時 2019年7月13日撮影

左側の口腔内写真からわかるように左下6頬側歯肉にサイナストラクトがあり、打診痛はありませんが根尖部圧痛を認めます。また、右上のデンタルでは、サイナストラクトからポイント造影したところ、左下6にポイントが到達することがわかります。歯周ポケットは、左下6頬側中央は8mm、頬側分岐部は6mm、その他は3mm、動揺は0、左下57はともに生活歯です。ここで、サイナストラクトの原因は、左下6であることがわかります。それから、病変の範囲を知るために、CTを撮影しました。

 

治療前CT

3D画像から、左下6頬側皮質骨の骨吸収が広範囲で起こっていることがわかり、歯周ポケットが頬側中央で8mmあることと合致します。

診断:既根管治療歯・症状がある根尖性歯周炎
歯周ポケットと根尖部透過像が連続していることから、歯内歯周病変の可能性があります。また、歯周ポケットが限局して深い場合、歯根破折も考えられます。

治癒しなかった理由を考える

2つ考えられました。
1つは、根管充填の状態から、根管形成が細く、根管内の消毒が不十分である、
もう一つは、根尖孔外感染が起きていることです。

1つ目の理由であれば、根管形成を十分に行って根管内の消毒が行き届けば治癒するでしょう。
しかし、根尖孔外感染が起きているのであれば、再根管治療のみで治癒することは難しく、外科的歯内療法を併用することで、根尖病変は治癒することができます。

根尖孔外感染とは、根尖孔周囲に感染が起きている、という状態です。根尖部透過像=根尖孔外感染ではないです。根尖部透過像の中は、一般的に、根の先に膿がある、あるいは黒い影があるという表現を使いますが、実際は、根尖周囲組織が感染しているのではなく、根管の中の炎症反応として根尖部透過像が存在します。よって、根管治療を行うだけで根尖部透過像が縮小することがあるのです。しかし、ひとたび根尖孔外感染、根尖から歯周組織へ細菌感染が起こると、根管治療のみで治癒することは難しく、外科的歯内療法を行うことが多いです。

患者さんには、以下の①〜③の治療方法をご提案しました。

根管治療
②抜歯
③このまま経過観察

サイナストラクトが、根管治療後に治癒していなければ歯根端切除術を行い、サイナストラクトが治癒すればかぶせ物をセットし、サイナストラクトが治癒しなければ歯周治療を行うこと、抜歯を選択すれば、骨ができてくる抜歯後4ヶ月くらいで、インプラントか入れ歯、あるいはブリッジを選択できることをお話ししました。

歯内歯周病変の治療の流れについては、前回のブログをご参照ください。

患者さんは、①根管治療を選択されました。

次回は、根管治療後の経過をお話しします。

お楽しみに。

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